研究内容

大深度地下の水理環境のモニタリング

放射性廃棄物処分場は大深度地下に建設され、廃棄物を定置後は粘土などからなる遮水材(人工バリア)を施工し最終的に閉鎖される。坑道の掘削によって周辺岩盤は損傷したり大気圧に開放され不飽和化するなどの影響を受ける。坑道閉鎖後は地下水が戻ることにより不飽和化した岩盤や遮水材などは飽和過程をたどるが、大深度の高水圧環境下における飽和・不飽和問題については未解明の部分も多い。岐阜県の地下研究施設では地表面下500mに位置する坑道の一部をコンクリート遮水壁で隔離し、試験区間を再冠水させて地下水環境がどのように回復するかを評価する試験を実施している。このような条件下での湿潤・冠水過程を予測するための構成則を確立するための基礎実験や理論的な評価を実施している。また、長期にわたる岩盤内の水分挙動の評価は大変重要であるが、岩盤水分は計測自体も容易でなくその手法の研究を進めながら挙動を評価している。

廃棄物処分場の人工バリアの品質モニタリング

廃棄体の周辺を埋め戻す緩衝材にはベントナイトという粘土系材料を用いる。岩盤から地下水が流入すると、ベントナイトは膨潤して埋め戻した空間をしっかりとシールする。これによって万一廃棄体から放射性物質が漏洩しても閉じ込める性能を発揮する。この遮水性能は施工時に所定の密度で埋め戻すことで管理するが、施工時の密度モニタリング計測手法やその後の地下水流入による飽和過程をモニタリングする技術は確立されたものがない。最近の研究で埋め戻した直後のベントナイトはその施工方法によっては不均質な分布を示し、これが湿潤・膨潤により長い時間をかけて均質化していくことがわかってきている。廃棄物先進国の欧州においても最近になってこの不均質性について着目されてきている。当研究室では、ベントナイトの密度を計測するために誘電式のツールや光ファイバなどを応用する研究を実施している。緩衝材の不均質性やその後の長期にわたる均質化過程の評価などについてこれらのツールを適用すべく基礎研究を実施している。


誘電率分布可視化のためのキャパシタンスCTシステムの開発

メタンハイドレートの開発や放射性廃棄物の地層処分,汚染土壌の浄化など,近年の資源・エネルギー分野の研究課題の多くが,地下内部における流体の流動挙動の解明に関係している。本研究室では,砂質あるいは岩質材料中の水やガスの流動をリアルタイムで可視化することを目的としたキャパシタンスCTシステムの開発を進めている。断面内部の誘電率分布を可視化する技術としてのキャパシタンスCTは,化学プラントなどにおけるパイプ内の気液混相流の可視化を目的として,90年代初めにその可能性が示されたものであり,X線CTおりもデータ取得時間が短く,リアルタイム性に優れており,また,岩石・水・ガスの三相を対象としたとき,比抵抗CTよりも逆問題としての非線形性が穏やかであって,逆解析においてアーチファクトが生じにくいという特長から,資源分野での内部可視化技術としての利用が期待されるものである。本年度は,このキャパシタンスCTシステムを試作して,その基本的な実用可能性について検討した。なお,リアルタイムでの内部可視化法としては,チホノフ正則化つきの線形インバージョンにもとづく方法が簡便かつ有効であることが示された。

応力磁気効果を利用するPCストランド用の張力測定器の開発

吊構造物のケーブルや,プレストレスコンクリート橋のPCストランドなどにおいては,安全性の観点から,その緊張力が規定どおり保持されているかどうかを定期的あるいは常時的に監視することが重要であって,そのために利用する張力計として,環境変動に対する十分な安定性と,長期使用に耐える優れた堅牢性を備えた装置の開発が望まれている。本研究室では,この目的に適合するものとして,応力磁気効果を利用した新しい荷重計の開発を進めている。ケーブルの一部を永久磁石によって長手方向に近飽和状態に磁化し,応力によるケーブルの磁化状態の変化を,空間磁界強度の変化として捉える方式のものであって,既設のケーブルにそのまま適用できるという特長を有している。本年度は,住友電工スチールワイヤとの協同で,PCストランド用の実用測定器を開発し,その基本的な性能を確認した。現在,長期モニタリングへの利用を前提として,実使用環境下での耐久性などについて調査中である。